スペイン編
ある人は、この国をヨーロッパにあって、ヨーロッパで無いと言います。
それには、イスラム文化の歴史があったり、アフリカへの至近距離から来るものであったり、
ジプシー社会が、伝統的に根強く残っていたりするからでしょうか。
私にとって、スペインと言う国は、住んでみても良いと心から思う国です。
好きな街
何と言っても、バルセロナが1番です。
ヨーロッパならではの街並みは、言うまでもありませんが。
建物の雰囲気が、違うんですね。言葉ではなかなか言い表せないのが残念です。・
バルコニーの取付き方一つとっても違うし、その手摺のデザインでも、
同じスペイン内で比べてみても、違うんです。
バルセロナの建物が、郡を抜いて、良いんです。それに、道幅がちょうど好い具合で。
街路樹のバランスがちょうどよくて。
その中でも、アントニオ・ガウディーの作品は、際立っています。
人では、思いつかない造形とでも言えば良いのでしょうか。
真似の出来ないデザイン感覚。造形美。調和性。ある意味で、ガウディーは怪物です。
彼の造った建物を探して歩くだけでも、楽しいと言うものです。
勿論、天才は一人ではありません。ピカソがいて、ミロがいたように。
それは、ドメネク・イ・モンタネール、その人です。
彼もまた、広く認められた巨匠です。ガウディー以上に愛された天才かもしれません。
彼が設計した音楽堂などは、メルヘンチックでお洒落で、奥が深い。
ガウディと並び賞される人物に違いありません。
造形美あふれる建築があって、街を見下ろす小高い丘があって、
海があって、そして港がある。街も人も暖かくて、好きですね〜。
人々
親しみやしですよね、スペイン人って。
背格好が同じって言うのは、何よりです。でもやっぱり違う。
決定的なのは、スタイルの違い。
身長は日本人とほとんど同じだけど、足の長さが全然違う。それと、ケツの大きさと。
股下が、身長の1/2以上あるかと思うくらい長い。
そして、女性のヒップライン。肉の厚みが十分にあるというか、曲線美豊かと言うか。
・・・・・と言う事にしておきましょう。
お尻のカッコよさは、肉付きで決まるのは言うまでも無いけど、
時々、その度を超えた、とてつもなく大きなお尻の女性を見かける。
体系は普通なのに、お尻だけが異常に大きい。それは、想像を絶するくらいに。
中には、お尻の肉が延々と太ももまで続いているような女の人を見かける。
それは、特にマドリードで数多く見かけました。
気のせいなのかもしれないけど、ほかの街ではそんなに見かけなかったが、
マドリードで結構多くのオバケお尻の彼女を見たものですから。
スペイン人って結構メガネ掛けてる人多いです。
サングラスを掛ける人も多いけど、メガネを掛けてる人の多さは、日本人に引けを取らない。
こんな所で厚底ブーツ(スニーカー)に出会えるとは思いませんでした。
日本の街中に氾濫しているアレとまったく同じものです。ほんの何人かですが。
それに、ベビーカーの多いこと。
まさか、スペインでベビーカーを、しかもこんなに多く見かけるとは。
でも、日本と違うのは、ベビーカーに足を引かれるとか、ぶつかる寸前で方向転換される
と言ったようなことは、決してありません。
ベビーカーの方が、幅を取っているのだから、最初からゆづってくれるか、
もっと早く方向転換します。日本人のような白々しさはありません。
また、歩いているもの同士、すれ違いざまに、バッグをぶつけて来るような
お姉さんやおばサンもいません。
日本人のマナーの低さをつくづく思い知らされます。
ほかにも
グラナダもなかなかのもんです。
落ち着きがあって、何かしっくり行きそうな、そんな佇まいです。
古いから良いって言う訳ではありません。
どこまでも続く石畳。くねくね曲がった道。質素な教会。
判りやすい店構え。ゴテゴテしてない看板。石造建築。
静けさの中に、味わいのある装い。目にやさしい街と表現しておきましょう。
夜道を一人歩きをしていると、コツコツと響く足音。
石を軽くたたくごとに軽快になる。
ボンヤリ灯るオレンジ色の街灯。長く伸びる影。
ジャケットに両手をつっこにながら、細い路地をコツコツ歩く。
良い風情です。
これだけは
日本に住みなれている私にとって、なじめない事。それは、トイレ。
地下鉄、公園、公共施設、マーケットなど、
町に居てトイレに困るような事はまず無い日本ですが、
用を足すために、飲みたくも無いコーヒーなどを、
また、買いたくも無い買い物をしに、お店に入らなければならない。
そもそも、外で用を足すなどと言う様な行為は、場所移動のついでに行うもので、
そんな感覚でいる私には、お茶を飲んでいる時間が惜しい。
コーヒーなどは、ゆっくりくつろいで飲みたいもの。その合間にトイレに行く。
どうしても、トイレを使うためにどこかの店に入るのは、
馴染めませんね。
地下鉄で
マドリードで地下鉄に乗っていた時、アコーデオンの音色がコダマして来た。
突然の心地よい響きの方に目をやると、駅のホームをアコーデオンを抱えたおじさんが、
電車の行く方向と同じように、歩いている。
電車が止まってドアが開くと、僕の乗っている車両にそのおじさんが乗って来た。
この車両に、肌の色、顔の形が違うのは、僕一人。
他の乗客は、アコーデオン弾きに視線さえ送らない。
相変わらず、軽やかな音色が車両に響き渡る。
興味深くアコーデオンを見る。ネンキの入ったプラスチックのコップがついている。
少しづつ、少しづつアコーデオン弾きは車両を歩く。コップは空っぽ。
1駅行くのに、ちょうど1車両の端から端まで。そしてオジサンは、電車を降りる。
車内は、何事もなかったかのよう。僕の胸に残るわずかな悲しさ。
おじさんの暮らしは・・・。