タ イ 編
もう10年以上も前になります。日本の景気が絶頂の頃です。
社員旅行で訪れたのです。
キックボクシングを見るのが、楽しみだったのですが、
見たのは、観光用のアトラクションで、オチャラケの入ったものでした。
とにかく、蒸し暑かったです。
買い物
何が正しい値段なのか、サッパリ判らない国でした。
ホテルのボーイが、その服装のままで紳士用のベルトやブレスレットを売り歩いていたり、
チップ欲しさに、どうでもいいような小荷物にも、我先にとボーイがかつぎにたかってくる。
バンコクの道端や観光スポットには、とにかく物売りが徘徊している。
彼らと目が会うと、ダッシュで駆け寄ってくる。
それを見て、また別の物入りが集って来る。そして、何処までも付いて来る。
その場所場所で100mも200mも、金魚の糞みたいに物売りをくっつけて歩く。
慣れてくるとおかしなもので、それがないと、だんだん寂しい気になってくるから不思議だ。
その内に、面白がって買う気もないのに値交渉などをしてみると、
どんどん値段が変わっていく。元の値段の1/10なんてものもあるから、
何がまともなのか判らない。
商品なのか、値段なのか、値切る事なのか。
そうこうしていると、僕達の仲間同士で値切り自慢が展開されるようになってくる。
もちろん、みんな冷やかしです。
街・建物
市街地は、殺伐とした風景です。
のっぺりした建物が何処までも続く。
ビルの窓には鉄格子。火事になると、焼死者が多く出るらしい。
火事で逃げ遅れることより、泥棒に入られる方が怖いらしい。
鉄格子だけでは物足りないらしく、更に上から金網を貼りつけているビルがあったりで、
ほこりにまみれた街並みは、まるで刑務所のようだ。
ビルの裏側は、トタン板で造られた、バラック小屋の住居が集積している。
それらは、赤錆ていて見るからに暑苦しい。
タイには、もう1つの住居がある。それは、水上住宅です。
日本式に言えば、高床式住居の下に河が流れていると言ったところでしょうか。
ここに住む人達の交通手段は、舟(ボート)です。当たり前の事です。
もちろん、エンジンは付いてます。
泥をいっぱい含んだ河の流れは急で、洪水じゃないかと思うほどだった。
そんな中に、パンツ一枚のガキ供が、河に飛びこんで水遊びをしている。
これこそタイの風景だと、勝手に決め付けて納得している。
もう記憶はかなり薄らいでいますが、言い知れぬたくましさを感じました。
物売りにしても、物乞いしているものにしても、オカマにしても、ビーチで戯れるガキ達や売春婦にしても、
底知れぬ強さをを感じた。
それは、生活感から来るものなのか、国民性なのか、宗教なのか。
その後、日本のOL達が男狩りツアーと称して、若いタイ人を連れ歩く傍若無人ぶりが話題になったけど、
名物も有るし、遊び場もしっかりしてる、もちろん見て歩く所もイッパイ有る。
嫌いじゃないですよ。タイって。
10年ひとむかしはよく言った物です。すっかり面影がありません。
物売りも見かけないし、街も綺麗で。たまたまそう言う日にあたったのでしょうか。何故か寂しい気もする。
地図を持ってうろうろしていた時、いかにもうさんくさそうな奴が日本語で声を掛けて来た。
内心、来た来たと思うのと、やっぱりタイか。と言う気持ちにでいると。
それもつかの間、実にイイ奴だった。
こちらの時間に合わせた観光ガイドを組んでくれた。
まずこちらの行きたい所へのルートを教えながら、その合間におすすめポイント、
お土産屋ポイントを案内してくれた。ついでに、良心的(免許のある)なのと、
そうでないバイクタクシーの見分け方を教えてくれた上に、
実演してくれて、良心的なバイクタクシーをつかまえて料金交渉をしてくれた。
そこまでやると、そそくさとどこかへ行ってしまった。
その時、最後にチップを要求してくるなと思ったのに裏切られたような、得したような。
すっかり変わってしまったタイを感じてしまった。